夢幻の姫君
それから2年、ブラウニングカンパニーを凌ぐほど大きくなった。
 “ハル”、隼人、和哉は6歳に。勝は11歳に。怜斗は15歳になった。
真琴は16歳になったが高認(高等学校卒業程度認定試験)を取り、“ハル”達と一緒に働いていた。18になったら経済学を学びに進学するらしい。
 健人はいつそんな勉強をしたのかさっぱり分からなかったが、実は学校のことを教える代わりに、ハルに教わっていたのである。

 教わっても出来るものでもないと思うが……
違う意味で化け物といっても過言ではないはずだ。

会社には双子が遊びに、怜斗は受験勉強(ちゃんと高校に行くらしい)の後、仕事を手伝いに来ていた。

クーはこれからする事のお願いと、自分勝手なことをする謝罪を書いた手紙を書くことにした。

「ハル、何書いてんの?」

真琴に聞かれたがクーは動じずに答える。

「秘密」

それは楽しそうに、寂しそうに、クーは答えた。
 不審顔の真琴を放っておき、クーは書く。その完成した手紙とほかの物。そして自分が力を初めからコントロールできた理由、――――の事をノートに書き、引き出しにしまった。

 そしてそれは実行される。


兄弟の知らぬところで、健人にも行き先を告げずに。
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