虹色パレット
男は、驚いているようだったが、蒼空は男の手をつかんで、さっさと歩き出した。



「さ、笹河さん…」



「ま、そういうこと。だから、大丈夫って言ったろ。じゃ、帰るぞ」



「ど、どういうことなのー!?」



そういうこと。

さて、この騒ぎは面倒なことになりそうだ。


退散しなきゃな。


千波を連れて、ホテルに戻ることにした。



タクシーでは、千波がぎゃあぎゃあ言っていたが、全く聞いちゃいなかった。


まぁ、ひとつだけ言えることは…。


『いつまでも組で待ってるから。結婚指輪持って、待ってるからな。絶対、離婚でも何でもして帰ってこい』



強制的に言った。


『約束だぞ』


これが、俺達の約束。


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