あひるの仔に天使の羽根を
 
「言い過ぎだって!!! 人様のキャビアと酒をかっぱらってさ…帰る時も忘れずに持って行った人が、何処が神なの。あれはただの業突張りのウワバミ。

偉大っていうならさ…ほら、皆が慕い恐れる紅皇サンだよ。紅皇サンがいてくれれば、真偽がすっきり判ったかもしれないのにね。あたしいつになったら会えるのかな、会ってみたいなあ」


思わず、そうぼやいてしまった。



「…うっわー、まだ判ってないんだ……」


そんな由香ちゃんの呟きはあたしには届かず。


「神崎~。兎に角イクミには少し警戒しておこう。居ないのも…気になるし。お手洗いにしては遅すぎるよね」


あたしも同意して頷いた。


「そういえば、神崎の身体に変化はあったの? 皆が頑張って魔方陣解いた意味…みられてきた?」


「んー、それがね。変化を感じないんだよね。黒い痣も大きくなってもなければ小さくなってもないみたいだし」


胸元の服地を引っ張り、覗き込んでみたが…変わりなく。


「………」


「だけど櫂が、"秘策"に繋がるものだというから、意味はあると思うんだけれど。あたしの身体がどうのいうんじゃないのかな」


「確かに…紫堂は、あの時、須臾の力を使わせなかったけど」


「…なんか言った?」


「いや…だけど意味は確かにあるんだろうね。

そう言えば師匠から連絡ないけど…大丈夫かな、それに魔方陣破壊完了のお知らせも来てないし。……遅すぎないか?」


不吉な言葉を、由香ちゃんは吐いて。


あたしは皆の顔を思い馳せる。


魔方陣破壊の最後は煌の担当らしいけれど。


しかし何故、玲くんを襲った月ちゃんとコンビなのかよく判らない。


煌……。


あんた、大丈夫だよね?



一抹の不安が――

あたしの胸に生じた。
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