あひるの仔に天使の羽根を


思えば――

こいつは始めからそうだった。



はっきりと、俺に対して自己主張をしていたんだ。


"せりと永遠を誓い合ったのはオレだ"


俺と芹霞が信じる"永遠"を、軽く笑い飛ばしたのは。


それを偽りだと言いのけたのは。


――どんな奴かと思ったけれど、全然大したことがない


――ただの"代わり"のくせに、出過ぎた真似するから


――"せり"って呼ぶの赦されてる?


俺が"永遠"に縋ったように、久遠もまた"永遠"に縋って。

そして俺は久遠を、久遠は俺を弾こうとしたんだ。


真実の"永遠"は1つだから。


久遠がそこまで敵意を見せて、俺を蔑んだのは。


偏(ひとえ)に――

俺が持たない愛の記憶故に。


それは刹那のものか、久遠のものか判らない。


だけど。


あれだけはっきり芹霞が選んだというのに、まだそんな顔。


だったら――

俺は容赦なくつけこんでやる。


気づいているんだろう?


オレが引く気はないということに。


お前から芹霞を奪ってやるよ。


だけどその前に――
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