あひるの仔に天使の羽根を


「何でこの泣き虫な阿呆タレは、こんなに頑固なのかな!!!」


煌は項垂れて、橙色の髪をがしがしと掻き。



「櫂、残酷なお姫様を…連れ帰れよ、完璧に」


玲が…悲しげな微笑湛えて、俺に振り返る。



「櫂様…お願いします」


桜が俺に頭を下げた。



久遠が俺を見ている。



旭が、蓮が、司狼が俺を見ている。



芹霞だけは俺を見ない。




――今までありがとう。



何処までも、意固地になるというのなら。

何処までも、他の男との"永遠"を選ぶというのなら。



俺は――



「帰りたくないって言ってる奴を連れ帰る訳にもいかないだろう?

元より俺は、芹霞に切り捨てられた身。

芹霞を残して帰るぞ、皆」



俺はそう言った。
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