あひるの仔に天使の羽根を
 

「しかし…いつまで続くのでしょう、この…"ドリル"だとかいう音」

「うーん、何か紫堂櫂の腹いせの気もするけれど」


どんなに離れていても。


オレが此の地を踏みしめる限り、必ず君と繋がっているから。


そう思ったら――

此の地で生きるのも…悪くはない。


「屍体はあの紅皇が、炎の鳥で一掃してしまったから…まあ殺風景な景色に何かが出来ると思えば、この先は楽しみだけれど」

「何でそっとしておいてくれないんだ、あいつらは」

「蓮…そう言って、本当は楽しみなんでしょう? にこにこした"人"が一杯集まって、ぴかぴか光って、くるくる回るものが一杯の、本当の"楽園"って言ってたものね、かいくん」

「お前…紫堂櫂に鞍替えしたのかよ?」

「旭は…月の想いを継いで、オレンジの…スケスケお兄ちゃんの方が好き」

「オレンジって…ああ、刹那様と紅皇を同い年だと信じたあの馬鹿? 何だよ、スケスケって」

「きゃはははは。見たい? 見てみたい?」

「旭!!! しまえ!!! 本当にロクでもない連中だ!!! 鏡の銀光で、"約束の地(カナン)"に誘導され、更にはずっと裏から守り続けられた刹那様のお心を踏み滲りおって!!!」


オレは1人じゃない。


それが判ったから。



せり。



オレはいつだって。


君の幸せだけを祈っている。



幸せになれ、せり。


君が選んだ…"永遠"の相手と。



オレは――

オレ達は――


此処から見守っている。


君の…オレ達が好きな笑顔が曇らないよう、


ずっと、ずっと――。


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