あひるの仔に天使の羽根を


白いシャツを羽織っただけの上半身。


垣間見える白肌の仄かな紅潮が、先程の情事の名残を感じさせる。



揺らめき立つような艶やかさ。


惑わせるような妖しさ。



それは――魔性。



人外の存在。



あたしの周囲にも、尋常ならざらぬ美しい男達はいる。


それぞれタイプは違うけれど、それでも共通していることは穢れなき美貌。


誰もが羨望する……賞賛されるべき美しさで。


高みに上るような、神側に居る存在であるのだとすれば、


この男のものは――


魂を餌とする……相対する存在。



そう――

思ってしまった。



俗的な言葉をあてるのだとすれば。


頽廃的。


堕落的。


破滅的。


と……でも言えばいいのか。



――どくん。



あたしの心臓が大きく跳ねたのは、

陽斗からの警告だろうか。


この男に関わってはいけない。


関われば堕とされる、と……。




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