あひるの仔に天使の羽根を



「さあ――

式典が始まるわ。


各務家のGAMEをご堪能あれ!!!」




俺は、俺と須臾に意味ありげな眼差しと蔑んだ笑いを見せて去りゆく、女当主の後ろ姿をじっと見ていた。


「……ふっ。馬鹿な子にお似合いの、愚かしい男」


そんな呟きは、小さ過ぎて俺には聞こえず。



「蛇の誘惑にお気を付けて。

刹那に魅縛されたら――

久遠に堕ちていくだけ」



振り返り様。


明らかに俺に言い放った樒の言葉。



――蛇?



疑問だけが俺の心に残り。



何故か俺は芹霞を思い出して。



そして俺は――




何かの幕があがったのだと



予感した。




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