あひるの仔に天使の羽根を
 



だけど。



その力が使えない今となれば、それはただのガラクタで。



「さあ、来いよ。

僕が相手じゃ不服か?

――双月牙で?

それとも体術で?

悪いけど、手加減出来ないから」



僕は――



「お前が双月牙に塗った毒薬。

毒薬があるなら勿論――

解毒剤もあるよね?」



僕は音無く1歩で間合いを詰め、




「――出せ」




とてつもなく低い――


女とは到底思えない声を発した。



お前の為に。



僕は芹霞の元に行けなかった。



お前が居なければ。



櫂は芹霞の元には行かなかった。




僕が――


行かせなかった。




もう――


2人にさせることはなかった。




僕の――



"僕"の心が、慟哭した。





< 341 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop