あひるの仔に天使の羽根を
 
あたしはぎこちない笑みを浮かべて頭を垂らして曖昧に挨拶し、心の中は早く行かなくちゃと焦りながら、男達が出てきたばかりの扉に進もうとした。


人が出てきたということは、とりあえず危険はないはずだ。



そう思ったのに、


「駄目だよ、お姉さん。そっち入るのは罪人だけだ」



少年に服の裾を掴まれ、引き戻された。



「お姉さん……もしかして新入り?」


そう覗き込まれた顔は。



――どくん。



金色の髪、金色の瞳。



その顔の造りまで、陽斗を幼く可愛くしたような顔で。



――ぎゃははははは。



あんな下品な雰囲気はなく、むしろ育ちのいいお坊ちゃんという感じで。


年格好的には小学生、くらいだろうか。


こんな小さい子でも神父だということに驚きだ。


陽斗の面影があるということは、あの忌まわしい刺客の女にも似ているということだけれど、この仔はあの女よりも童顔で、



「ん?」



とてもあどけない。



詰襟の白服という処まで陽斗の記憶と被ってしまい、何だかとても懐かしく…ぎゅうをしたい心地になってしまった。



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