あひるの仔に天使の羽根を


「玲さん。芹霞さんが心配なら――」


そしてどうして――


「貴方のものにしてしまえばいいんじゃありません? 櫂には私が居る。私は離さない。

――私は心から応援しますよ?」


唯の幼馴染の女の存在に、こんなに胸が鬩ぐんだろう。


芹霞が誰と結ばれようが、どうでもいいはずじゃないか。


だけど――


「ねえ……櫂?」



強い須臾の瞳に囚われて。


そう。


昔から俺を魅了し続ける、その瞳に俺は吸い込まれる。


ああ――


どうでもいい気がしてくる。


俺には須臾が居る。


他の女ことなど、考えたくない。


今が幸せなら、それだけでいい。


この幸せを分けてやりたいんだ。


「玲、俺も協力するぞ?」


そう……友愛込めて笑ったというのに、


「………」



玲は険しい顔のまま、俺をただ見つめるだけで。


俺は笑顔で、そんな玲を受けていて。


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