その先へ
「今日もさ、ちょっと廊下で生徒と話してただけなのに

『そんな暇があって羨ましいですわ。私は忙しくて…。養護教諭になれば良かったかしら』

って。ありえなくない?養護教諭馬鹿にしてんのかっつーの!!」


アイ姉の愚痴を聞かされながら黙々と弁当を食べている4人。

生徒からの支持が高い分、お局的な女教師からは目の敵にされているらしい…。


「それでね、

『そんなに暇なら新任歓迎会の幹事よろしくお願いしますね』

って。完全な押し付けよね!!ね!?」


ヒートアップしていくアイ姉に対し、ユーヘイがすかさず話題を変えた。

「アイちゃん!!今日俺らSAMURAIでご飯食べるんだけど、一緒にどう?」

「そうなの?じゃあ会議が終わったら行こうかな」


話題が変わりホッとした僕らをよそにユーヘイはニヤニヤしながら、


「彼氏に会いたいから?」

と言った。


「何言ってんの?彼氏なんていないわよ」


アイ姉は否定したが、僕らには心当たりがあった。



【SAMURAI】のマスター・[タクさん]

アイ姉と中・高の同級生で、僕にとって小さい頃から兄貴的存在なら人。

アイ姉からよく聞く異性の名前がタクさんだし、
タクさんからよく聞く異性の名前がアイ姉だから僕はもう付き合っていると疑ってならない。


ただ、アイ姉に確かめたくても何だか聞けないでいた。


そんな話を以前したことをユーヘイは覚えていたのだろう。


ユーヘイの絶妙なアシストはカノンへ…


そして…


「タクさんでしょ!?」


決まった…。
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