その先へ

第3歩

遠足を翌日に控えた夜、僕は重い足取りで家路へと向かう。

2年生は一昨日から修学旅行へ、1年生は昨日からオリエンテーション合宿へ行っている。

オリエンテーション合宿には付き添いで養護教諭のアイ姉も同行している。

それが何を意味するか。


家にアイ姉がいないということ。


両親と僕の潤滑油でいる彼女がいないということは、気まずい空気が家中に流れること間違いない。
きっとその思いは両親も同じだろう。


唯一の救いは父が出張で一週間留守にしているということだ。つまり気まずい相手が1人減ったことになる。
母にとったら心細いのだろう。



いつもは21時半過ぎに帰宅しているのだが、今日は無駄に寄り道をして23時を回ろうとしていた。

母がもう寝ていることを願っている自分が、何だか虚しかった。
< 49 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop