その先へ

第6歩

タキと僕はお互い別の理由で青ざめていた。
しかし周りにはその違いが分からないのか馬鹿にするかの如く、


「タキもジュンもそんな怖かったんだ!?ウケる!!」


と、カンちゃんが爆笑している。すると手を繋ぐほど怖がっていたはずのカノンも一緒になって笑っている。


「ジュン、絶叫得意なんじゃなかったの!?」


その言葉に無性に腹が立ち、言葉を返すことをやめた。カノンは少し首をかしげたが、その原因が分からないからかあまり気にしていないようだ。


「次どこ行く?占いまでにはまだ時間あるけど」


カンちゃんとフミナが次の場所を相談していると、ユーヘイが割って入り、自信満々に提案をする。


「お化け屋敷に決まってるじゃん!!」

「いいねぇ、アタシ賛成!!」


同意するカンちゃんとは裏腹にフミナは


「タキもジュンも既にグッタリしているのにこれ以上グッタリさせてどうするのよ!?」


と反対意見を提示したが、当の本人であるタキが、


「俺はもう大丈夫!!」


と、復活をアピールした。僕はというと、まだみんなのテンションについていく自信がなかったので、


「自分はここで待ってるからみんなで行って来てよ」


と言った。気分悪そうだし仕方ないねと納得してくれている雰囲気の中、


「じゃあ私もジュンと待ってるよ」


とカノンが気を遣ってくれた。いつもなら大喜びのこのシチュエーションも今は邪魔以外の他にない。
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