その先へ

第9歩

出口を抜けると、すぐそばのベンチに先に占ってもらった4人が腰掛けていた。


「あっ!!ジュン!!」


僕の存在に気付いたカンちゃんが手を振っている。僕は足早にみんなの元へ駆け寄った。


「どうだった?当たってた?」


カンちゃんに尋ねられると、


「うーん…どうだろ…」


と、とっさに曖昧な返事で返した。内容を深く突っ込まれることを恐れてのことだ。


「ふーん…。あっ!!アタシはね、超当たってたんだよ!!だってね…」


カンちゃんは自分が言われたことを事細かに話し始めた。他のみんなはまたかよ、という顔をした。同じ話をみんなにしたのがすぐに分かった。

カンちゃんが占ってもらったことは100%恋愛についてで、今付き合っている彼氏とうまくいくと言われたことがよほど嬉しいようだ。

カンちゃんの話をよそに僕はふと、他のみんなを見渡した。カンちゃんが恋愛について占ってもらったことは想定していたが、あとの3人は何を占ってもらったのだろう。
呆れながらもカンちゃんの話に渋々耳を傾けているフミナとタキの奥に、下を向いて落ち込んでいるであろうユーヘイの姿が目に付いた。


カンちゃんの話が一段落した時、僕はユーヘイの方を指差し小声で尋ねた。


「ねぇ。どうしたの…?」
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