その先へ
陽炎

第1歩

終業式が終わり夏休みに入って3日目、毎日最高気温が更新されていく蒸し暑い中、僕は県内で最も大きな体育館の武道場にいた。


「中堅、前へ」


主審の指示で一礼すると、大きく3歩進み竹刀を構えてかがむ。目を閉じ深く深呼吸しながら始まりの合図を待っていた。





―1ヶ月前―


「真中、ちょっと来い」


練習が終わり水分補給していると、突然監督から呼び出された。

とても威厳のあるこの監督は毎日必ず1人は居残りで説教、または個人練習をさせる人でもあり、同級生も後輩も今日はアイツが餌食に…なんて顔をして僕を見ている。
僕は肩を落とし急いで監督の元へ向かった。


「ちょっとこっちに来い」


そう言って監督室と呼ばれる部屋へと向かう。


(…今日は説教か…)


さらに足取りも重くなり、


「失礼します」


と、一礼し中に入った。
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