その先へ

第3歩

教室に着くと黒板に書いてある文字に目が止まった。


【名簿順に座ること】


例え持ち上がりだろうと始まりぐらいしっかりしようと思うのが学校なのだろう。


僕はテストをする時と同じ窓際の後ろから2番目の席に座った。

カノンは廊下側から数えて2番目の列の一番後ろへ、タキはカノンの左隣にそれぞれ座った。




そのうち、勢いよく教室に入ってきた2人が黒板を見るや大きな声で文句を言い始めた。


「何で名簿順なんだよ!!」

「そうそう、持ち上がりなんだから去年席替えした席で良くない?」


ユーヘイとカンちゃんだ。

[ユーヘイ]はモテることに必死で、単純明快なお調子者。その為にサッカー部に入ってみたり、ついには生徒会長になってしまった。

後輩からの支持は絶大だが、同級生からは軽い奴だと思われがちである。

[カンちゃん]は見た目ギャルで近寄りがたい感じだが、実は天然なおバカキャラ。
年上の男にしか興味がなく、彼氏がコロコロ変わったりするまさに恋愛体質な女の子。


そんな2人がしばらく黒板の前で熱くなっていると、黒髪、黒縁メガネをかけた女の子が冷静にその場を沈めた。


「はいはい、それぐらいにして早く席に着きなさいよ」


フミナだ。


[フミナ]はユーヘイの幼なじみで成績優秀、しっかり者でクラスのまとめ役。付け入る隙を与えないぐらい彼女の言葉には説得力がある。


「はっ…はーい」


2人は大人しく席に座った。
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