田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
初五郎は病院のベッドで訃報を聞いた

点滴のチューブを引きちぎり着替えを始めようとしている

「シイエ!喪服ば持って来い!」

そしてその場に倒れ込んだ

息子達がひきとめる

「俺らが兄ちゃんはちゃんと送ってきてやる心配せんで休め」

シイエもだまって手を握りうなづいた

それから五郎の病気は急速に進行した

癌が見つかった時にはすでに遅かった

すでに高齢と言われる年代にありながら癌細胞は恐るべきスピードで初五郎をくらい尽くしていった

そして政雄の死からちょうど一年

政雄の後を追うように74歳で帰らぬ人となった
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