田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
いつものように上得意には国夫自らが出向く予定にしていた

「幸枝、羽織りを出してくれ」

幸枝は何やら考え込んでいる

「幸枝!羽織り」

「あ…はいはい、あなた…その花私に持って行かせてくれないかしら?」

「お前がか?俺はありがたいがお前がおかっさまに小言言われるとぞ」

「構いません…おかっさまの小言も久しぶりに聞きたいですし!では私が支度してきますね」

幸枝は久しぶりに上等の着物に着替えて番頭を待った

百合をたくさん抱えて番頭が声をかける

「旦那様行かれますか?」

現れたのが幸枝であったので番頭はびっくりした

「奥様が行かれるんですか?」

「私ではダメかしら?ついてきてくれますね」

「もちろん…はい」

「幸枝…頼んだぞ、おかっさまによろしくな」

国夫が二人を送り出す

「わかりました、いってまいります」

二人はたくさんの百合を抱えおかっさまの料亭を目指した
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