田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
シイエの初恋
あれから何度か春が来て…また冬がきて

季節がいくつかめぐり二人の幼かった少女は立派な女性に成長していた

その間花幸の奥様は花屋に奉公する以上はこれだけはとお茶にお花…果ては日本舞踊までふたりに稽古事をさせていた

結果…10代も後半に差し掛かる頃には誰もが振りかえるくらいの女性になっていたのだ

知らない人が見ると誰も奉公人だとは思わない

二人は「花幸」で奉公をしている事に誇りをもっており常に燐とした雰囲気をかもしだしている

その頃には仕事も完璧にこなしており

二人は奉公人としての評判も高かった

おかっさまは二人を自分の店に来させようとあれこれ手を尽くしてきたが二人をつなぎ止めるものは「花幸」への愛情だった

大好きな奥様に精一杯自分達ができる恩返しをしたい…その想いが二人を成長させたのだ

人として成長する過程で様々な感情も芽生えて当然の事

シイエはとある男性に密やかな想いを寄せていた
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