田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
ある朝シイエが朝食の手伝いをしていると外を掃除していたヨッコが血相を変えて入ってきた

「シイエちゃん!ちょっと…」

「何ね?今忙しかと」

「よかけん早う来んね」

ヨッコがシイエの腕を掴み外へ連れ出す

「あの人の奥さん亡くなったげな…」

「うそやろ…」

シイエは単純に男性の心中を察して目頭が熱くなった

「本当って…どがんするね?シイエちゃん…もう奥さんおらんとよ好きとやろ?」

「馬鹿じゃなかとね…こがん時に…亡くなったばかりとに!そいに死んだ人にはどげんしたって勝ちきらん…もうダメばい」

「諦めるとね?」

「諦めるとか…元々何もなかとやけん…ほら!今日は稽古の日ばい!はよう片付けして行かんば」

シイエは自分に言い聞かせるように言葉を発した後黙々と仕事をこなした
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