逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


あたしにとって、



きっと……最後の恋。



あんなに優しい人も



こんなに大切に思える人も



きっともう二度と現れない。



だからあたしは、自分から手を離したの。



大切に想うほど、怖かったから。



失って傷つくのが怖いから。



優しさに甘えて



一緒に堕ちて欲しいなんて言えなかった。



なによりも。



大好きな橘くんの笑顔、奪いたくなかった。



あたしのせいで失いたくなかった。



笑ってて、ずっと。



明るい場所で、輝いていて。



あたしと過ごした時間よりも前に。



あたしと出逢う前の橘くんに戻って。



橘くんの願い事は聞けなかったけど。



この星がもしも

願いを叶えてくれるなら



どうか……



君だけは幸せでいてほしい。






それが、

夜に堕ちたあたしの



最後の願いだった――。
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