TENDRE POISON ~優しい毒~


「可愛い乃亜姉には似合うけど、あたしには……」


「何言ってるの!雅は可愛いよ」


乃亜姉はそう言って人差し指をあたしに突き立てた。


でもすぐに俯くと、悲しそうな表情をして、


「でもあたしの好きな人は雅のことを好きみたいなんだよね……」




――

―――



ちょっと待って。



あたしは回想から舞い戻った。


乃亜の好きな人があたしを好き…?


だって、その頃あたしはまだ中学生で神代の存在すら知らなかったんだよ。



え?



乃亜の好きな人って―――



あたしの頭の中でいろんなことがぐるぐると回った。


だって、最後に聞いた言葉が



『かみしろせんせい』だよ……



あたしは頭を振った。





あたしの復讐するべき相手は神代だよ……


だって乃亜……



あんなに苦しそうに名前を呼んだんだよ…







< 143 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop