TENDRE POISON ~優しい毒~



神代に近づけないのなら、先に保健医を何とかするか―――




あたしは目を開けた。


目の前で明良兄が腕組みをして、壁にもたれかかってる。


「明良兄、教えてくれてありがと。あともう一つ頼まれてくれない?」



――――

――


一時限目はさすがに出席する気分になれなかった。


どうせ音楽の時間だ。さぼったって何のマイナスにもならない。


気がかりと言えば、



梶―――


あたしが教室を出て行くとき、困惑したようなそれでいて哀しそうな顔してあたしを見つめていた。




梶は何も知らない。


いつだったかこんなことを言ってたね。



『俺、お前のこともっと知りたいかも……

知って、お前が泣かなくていいように強い人間になりたい』



梶……ごめん、あたしのこと知ったらきっと幻滅する。


そんなこと言ってくれるの梶だけなのに、



あたしはその手を振り払おうとしてるんだね。




ホントに酷い女だよ。ごめん……






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