TENDRE POISON ~優しい毒~

二人が戻ってきて、すぐ後に傷を縫合してくれた外科医の先生が現れた。


保健医が言ったように、三週間後にまた抜糸があるからそれまでは定期的に消毒にくるよう言われて、「帰っても大丈夫だよ」とニコニコ顔で言われた。


あたしは神代の運転する彼の車に、保健医と一緒にあたしんちに向かった。


もちろんあたしの家を見られるわけには行かないから、近くのコンビニの駐車場で待ってもらった。


家が古くてぼろいから見せたくないとか何とか適当な言い訳を二人は黙って聞いてたっけ。


保健医も先ほどの勢いはどこへやら、じっと黙ったまま気味の悪い沈黙を守っていた。


神代が何か言ったんだ。


それを納得したのか、あるいはしきれていないのか。


分からなかったけど、今のあたしには関係ないや。




ドアに鍵を差し込むと、またもや鍵が開いていた。


玄関口には男物の靴。




あたしは小さく吐息を漏らした。


ここにも一人説得しなきゃいけない人間がいる。




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