TENDRE POISON ~優しい毒~

『もしもし!』


急き込んだ様子の梶がすぐに電話口に出た。


『鬼頭!?お前っ大丈夫か??』


切羽詰まって緊張を帯びた声。僅かに語尾が震えてる。


「うん…大丈夫。心配かけてごめんね」


『それなら良かったぁ』言葉尻が妙に下がった。気が抜けた、って感じだ。


『ホントは俺も病院についていきたかったんだけど、授業があるからって先公どもに無理やりつれてかれてよぅ』


電話の向こうだから分かんないけど、きっと梶は唇を尖らせてる。


そんなことが容易に想像できた。


「ホントに心配かけてごめん。多少縫ったけど、傷跡は残らないって」


『そっかぁ。それなら良かった。で、お前今病院?』



あたしはケータイを一瞬強く握り締めた。


乾いた唇をちょっと舐めると、


「今は……家」と短く答えた。


『家?じゃぁ今からそっち行っていいか?無事な姿を見たい』




梶の気持ちは嬉しかった。


ホントに心配してくれてることが分かったから。





でもホントのことなんて言えない。



今は神代のマンションにいる―――なんて。








< 229 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop