TENDRE POISON ~優しい毒~

ピンポーン


インターホンが鳴ってあたしは錠剤の一つをパーカーのポケットに仕舞い入れ、慌てて薬の袋をチェストに戻した。


二回目が鳴って、せっかちにガチャガチャとドアノブを回す音がした。


ドアホンで確認すると、保健医だった。


ホントに来た……



「よ!どうだ具合は?」


保健医は欠伸をしながら無遠慮に部屋に入り込んできた。


「今のところは、大丈夫です」


「ったく、せっかくの休みだってのに何でお前と一緒に過ごさなきゃなんねーんだよ」と保健医は唇を尖らせてる。


だから言い返してやった。


「あたしだって、一人の方がいい」


保健医はにっと意地悪そうに笑うと、


「昨日より元気そうじゃねーか」と言ってあたしの額を軽く弾いた。


あたしはおでこを押さえながら、保健医を招き入れた。




昼近くまであたしは何故か保健医と一緒にリビングにいた。


保健医はふてぶてしく長い足をソファに投げ出し、寝そべって新聞を読んでる。


あたしを心配してる、というより監視してるみたいにあたしが動く度に新聞から目をあげて鋭い視線であたしを見据えてくる。


おかげであたしは下手な動きができない。


まぁ焦ることはないけどね。


だってこれからたっぷりとこの部屋にはいられるわけだし。



でも、息が詰まりそうだ。


あたしは見ていた神代の部屋にあった車の雑誌を投げ出すと、保健医も読んでいた新聞をおもむろに畳んだ。


「おい。



脱げ」









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