TENDRE POISON ~優しい毒~


「誰?」


僕が聞くと、まこは照れくさそうに


「ん~、彼女」とのんびり答えた。




「大学の後輩。この間飲みに行って意気投合したんだ」


大学の後輩……


僕は知らない。


そんな顔をしていたのだろうか、


「お前とは学部が違うから、知らなくて当然だろう。彼女ああみえてレントゲン技師なんだ」


と答えてくれた。




「送ってくれてサンキューな。今度なんか奢る」


「どうせ、缶コーヒーでしょ」


僕は笑った。


心の中の動揺を押し隠して。


「砂糖いっぱいの甘いやつ、嫌がらせに」まこは笑いながら、車から出た。




そのまままっすぐ千夏という女の人のもとへ行く。





僕は黙って車を発車させた。




二人の親しげな雰囲気を目の当たりにしたくない。






今夜も眠れそうになさそうだ―――




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