TENDRE POISON ~優しい毒~
「用って何ですか?」
あたしは冷たく答えた。
こいつは神代と仲がよさそうだったけれど、はっきりいってあたしの作戦の中に利用できる男ではない。
「誰あれ?保健室の先生?」
「かっこよくない?」
「あたし仮病使って保健室にいこうかな♪」
なんてクラスメイトたちが、浮き足立ってる。
かっこいいか?
神代のほうがよっぽど……
って考えてあたしははっとなった。
いやいや、神代は乃亜の敵だ。
あの甘いマスクで乃亜をたぶらかしたんだ!
「鬼頭さん、この間倒れたときの書類書いてなかったよね。ちょっと保健室で書いてくれない?」
保健医は似非くさい笑顔を浮かべた。
こいつ……何考えてるのかまったく見えない。
「書類ってここじゃだめなんですか?」
あたしは保健医を見上げた。
ほとんど睨む格好になった。
でも保健医は気にしていない様子。
にこにこした表情を貼り付けて、
「ここじゃちょっとだめ。聞かれたくないこともあるでしょ?」
聞かれたくないこと?何だそれ。
でも、こいつが何考えてるか分からないから、とりあえずついていくしかないか…