TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午前0時のTarget◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
「じゃあ、明後日見せてね」
あたしは口の端でにやりと笑った。
目の前で明良兄がそわそわしたように行ったりきたりしている。
『ところで、何かあった……?』
神代が勘ぐるように聞いてくる。
あたしは用意していた答えを返す。
「これ、あたしの番号だから。登録しておいて。用はそれだけ」
『そっか……登録しておくよ』
無駄に長話は変に勘ぐられる。
「じゃ」
あたしは電話を切ろうとした。
『―――待って!』
殆ど切ろうと思っていたとき、神代の声が聞こえて、あたしはケータイを耳にあてた。
「なに?」
『いや、明日だけど、放課後都合良い?
今朝言ってたレポート手伝ってもらいたいんだけど』
遠慮がちに言う言葉にあたしはまたにやりと笑みを漏らした。