獅子が招いてくれた恋

はるかside、意識

 
『アサミーっ!!うわ〜ん!』

「あーよしよし、頑張った頑張った!」




9月も終わりに近付いた頃、あたしは採用通知を片手にアサミの頼もしい胸を借りていた。


一時はどうなるかと思った。
面接は緊張しまくって、“口から心臓が”ってこの事かと実感した。




「うっせーなあ。汚ねえ泣き方すんなや!」

一緒に面接を受けたヘイスケ。
こいつはあたしたちとは違う学科で、機械科。

2年の時に付き合ってた。ユウヤのことが忘れられなくて1ヶ月くらいで別れちゃったけどね。


『黙らんか!面接、汗だくで帰ってきたくせに』

「うっせ!」

ワイシャツの襟は勿論湿ってたし、手でがっちり掴んでいたのか、ズボンの両膝の辺りは汗で丸くシミになっていた。
今思い出しても笑える。


「なに笑ってんだよ、泣かすぞ?」




自称“ドS”のこの男。
ついでに言うと、あたしの処女を呆気なく奪っていった。




「お前のは鳴き声も泣き姿もそそるからな!ははっ」


あれ?あたし鳴いた?
こいつとの行為はそんなに良かったっけか?

まあ、いいや。




『で、その後、女は?』

「なしっ!そっちは?」

『なしっ!』



「もっかい2人、付き合えば?」

アサミの素直過ぎる問い。


『「ありえないっ!!」』

2人の迅速な答え。




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