クリスティアナ

心配

森を走り抜けると視界が開け、美しい湖が見えてきた。



湖の近くまで走らせると、愛馬から身軽に降り、キースは水際までゆっくり歩を進める。



湖の青く透き通った色を見ると、クリスの瞳を思い出す。



途端にもやもやした気持ちになり、顔をしかめる。



確かに気になる存在ではある。



女だと分からせるためにした行為も触れたかったせいだ。



俺はあいつが好きなのか……?



今まで肌を合わせるのに愛情は必要なかった。



あのまま進んで嫌われるのも避けたかった。



いや、もう十分に嫌われていたか……。



自分の行いを振り返り、苦笑いを浮かべる。



あいつが他の男のものになると思うと、いてもたってもいられない気持ちになるのも確かだ。



しばらく、クリスの瞳に似た湖を見てから少し離れた愛馬を口笛で呼び、城へと戻った。







厩舎の小間使いに愛馬を預け、鍛錬所に向かっているとロイが走ってきた。



「キースっ!どこにいたの!?」



ロイの後から母である沙羅も見える。



「何かあったんですか!?」



ロイの真剣な表情から何かあったのかと顔色が変わる。



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