左手のエース
-02-
「みんなー!
課題持ってくよー!!!」






いつの間にか『課題集め係』になってしまったあたしは、課題を持ち上げ、教壇をひょいと降りながら叫ぶ。


あいかわらず提出率は高い。





「それで!?
舞、その後どうなったの!?」





課題を半分持ってくれている亜耶が、話の続きをせかす。




「リョウ君とその後どうなったのよっ」




「…てか…なんでそんなにテンション高いの?」



あたしは不審そうに亜耶を睨む。




「だってー!!

男っ気のない舞がついに…と思っちゃってさ!!」




「…ついに?ついに何なのよ?」




「惚れちゃったんじゃないの!?」




亜耶は課題で塞がってる両手の代わりに
肩でつついてくる。






確かに今朝は、
アイツの……リョウの、
ささやかな優しさに触れた。




「……でも別に、そのあとはコーヒー飲みながら少し話してすぐ帰ったよ。学校もあったし…。」





「何を話したの??」



亜耶は階段を降りながらもあたしの方を見て、話の続きをせかす。



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