水嫌いマーメイド
決して誰にも悪い顔はしない、親しみやすい、ノリは良いから好感度は良い…

素晴らしく出来た男
それが水沢潤



「うわっ、やっぱりモテるねぇ水沢わ」
『可耶!!』
「無理もないよねぇ…カッコいいし、優しいし…」

可耶は、中学からのあたしの親友で唯一……


『……うん……』
「水泳部だし?取られちゃうんじゃない?」
『えぇ!?』
「どぉすんのぉ~?」


あたしが、水沢の事が好き…って知ってる人物。


可耶に“コクれ!”と念仏のように唱え続けられてるけど……言わば、一目惚れ。出会って数ヶ月で『付き合って下さい♪』は、あたしの生きてきた結論上、軽々しいと思うんだ。

だって知り合ってまだ3週間弱なんだよ?!
何にも知らないのにって、思われるし……。

もっと知って、自分の心を整理してから告白しようと思うんだ。


それに……


「水沢くん、頑張ってぇー!!」
「ありがとーございます♪おねーサマッ」
「可愛い~」


うわッ、出た!
水沢の悩殺スマイルッ!!!ニコッって笑顔が反則技級の笑い顔。そりゃ、カッコいいしか言えないよ…。

それに……あんな、お姉様達と張り合う度胸は、あたしは無いし…。
で、でも…同じ水泳部って事は、ちょっとだけ…ほんのちょっとだけど一歩リードだと思う……。

って、思いたいなぁ…。



「今から呼ぶ者は、すぐこちらに来なさい」
「妃泉!選抜だよ!」
『…う、うんッ』

あたし達が通う、如月高校は水泳の強豪で名門校。
ここに居る水泳部は、皆水泳がしたくてやって来た人も多い。あたしと、可耶と……多分、水沢もその内の1人。


強豪校の中でも選りすぐりの先輩達が顧問の声に呼ばれ集う。


「……だ。引き締めて行け…いいな!!」
「「はいっ!」」
「それと……1年から佐々木、水沢」


あたしと……水沢?

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