ミルクティー
私は水槽にべったり…

そんな私を海斗は私を後ろからギュッと抱きしめてくれた。



「か、海斗!!
人がいるよ」


「みんな見てない」



言われて気づいた。

どの人達も自分達の世界に入っている。



「ホントだ…
誰も見てない」


「でしょ?」



この中だったら私達、全然目立たない。


ずっと続けばいい。

このまま放れたくない。



「イルカは自分たちにか分からない…」


「音で連絡を取り合っているんでしょ?」


「正解!」


「始めて来た時に海斗に教えてもらったことだもん。
ちゃんと覚えているよ」


「ありがとう」



なんで『ありがとう』かは分からないけど…

今はこうして海斗と一緒にいられることが幸せ――――



「そろそろ行こう?」


「もういいの?」


「うん」



本当はもっと居たかった。

けどいつまでも居る訳にはいかない…




「あっ雛那ちゃん夕ご飯どうする?
ここで食べていく?」


「ここがいい!!」


「じゃあ行こうか」


海斗とご飯。

ヤッター!!


時計は6時を指していた。

水族館の中でご飯を食べるのは2回目。

私達はお店が混まない内に移動した。




< 273 / 353 >

この作品をシェア

pagetop