神様のシナリオ
 


イッチーが制服の胸ポケットを探りはじめる。

あれ、デジャヴ……?

「何、それ」

イッチーの手には、金に光るロザリオが握られていた。

「このロザリオは、私の力を存分に発揮させてくれるものよ……ロワチザタ、カリシラオニヲ!」

一瞬、輝きを放ったロザリオは、イッチーをまるごと包み込んだ。

ちょっと待てよ、行くなよ、行くな、行かないで!

「……何、泣きそうな顔してるの?」

あぁ、またデジャヴだ。

ちょっとだけ前に、同じ言葉を聞いた気がする。

イッチーが、まだ少し光に包まれたまま、こっちに近づいてくる。

そのイッチーの背中には、とても大きくて神々しい、真っ白な羽が生えていた。

……もうほんと、勘弁してよ。


 
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