キミを想うトキ


諦めたあたしは
飴玉男に辞書を借りて英語を受けた




どこやったんだろう…



誰かに貸した記憶もなければ

英語の授業でしか使わない辞書を
どこかに持ち出した記憶もない




「そんな事言って、家にあるんじゃないの?」


フルーツオレを飲みながら
千絵はあたしを見て言った



「あたしが持って帰ると思う?」


カバンはいつも軽くて
入ってると言えば財布と化粧道具


それに鏡と手帳くらいで
教室や重たい物は絶対に入れないあたし




そんなあたしの言葉に千絵は
「確かに。」
と言って再びストローをくわえた




「盗まれた?」


「まさか。」



即答で返事するあたし



盗難とかありえない


ロッカーには鍵がかけてあるし
その鍵はあたししか持ってない



みんな開けっぱなしの人が多いけど
あたしはしっかり鍵を掛けていたのだ


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