キミを想うトキ

繋いだ手


「え~ッ、最悪ぅ!」

買い物を終えて
外へ出たあたし達を待っていたのは

冷たく空から降り注ぐ大粒の雨



「あれぇ?今日は晴れのち曇りって天気予報で言ってたのに…」


「その天気予報、大ハズレね。」



大雨の街に
二人して足踏み状態



「そういえばこの前も雨じゃなかった?」


見上げたあたしの瞳に真っ黒な夜の空が映し出される


「あんた、飴玉男じゃなくて本当は雨男?」


からかうあたしに飴玉男が視線を向ける


「な、何?」

怒った……?



真っ直ぐな飴玉男の瞳に
あたしは何故か目を逸らせずにいた


その時―――…



「桃ちゃん、走るよ!」

「え?ちょ、ちょっとッ!!」


突然あたしの手を掴んで、どしゃ降りの街へと走り出した飴玉男


< 59 / 259 >

この作品をシェア

pagetop