小さな恋【完結】
「一哉……あたし、一哉に話がある……」


「話?」


「そう。すごく大切な話……」


あたしがそう切り出すと、一哉は小さく頷いた。



「飲み物持ってくるから。話はそれからにしよう」


「うん……」


部屋から出ていく一哉の後ろ姿に何度も謝る。



「ごめんね……。一哉、ごめん」


また同じことを繰り返すなんて。


一哉に自分の気持ちを全て伝える決心は固まったはずなのに、怖じ気づきそうになる心。



でも、このままじゃ悲劇のヒロインぶっているだけ。


麦茶の入った二つのグラスを手にした一哉が部屋に戻ってきた時。


「一哉……あたしね……――」


あたしは今までの出来事を全て一哉に伝えた。


一哉は最後まで黙って話を聞いてくれた……――。

< 204 / 460 >

この作品をシェア

pagetop