Sleeping baby ~眠り姫~


『ヒカル、よく似合ってるぞ』



アタシの部屋のドアを開け、しょんぼりと部屋の真ん中に立つアタシを見ると、兄ちゃんは眉尻を下げて優しく笑った。



兄ちゃん…


アタシ、


明らかにしょんぼりしてるんですけど!



兄ちゃんはその辺の空気は読まないらしい…



というか、分かっていてもあえてスルーして流すという、得意の処世術を発動中らしい。



「兄ちゃん…行くの?」



『え!?行かないの?』



そんなビックリした顔で見ないでよ。



はぁ…やっぱ行くんだ…



「行くよ…行く」



行けば良いんでしょと、あからさまにしょんぼり答えたアタシの頭をそっと撫でる兄ちゃん。



『大丈夫だヒカル。挨拶するだけだ、すぐ終わるよ』



うん、そうだよね…挨拶するだけだよね、目をつぶってる間に終わるよね。



って、そういう問題じゃねぇ!



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