恋人と呼べる日
そんなことを思いつつ、体は正直で俺はハルカの唇を求めていた。

前にキスしたときよりも、もっと深く激しくハルカを求める。

「……んっ」

ハルカは、ぎこちなくも俺の求めに懸命に応えてくれようとしている。

そんなハルカが、可愛すぎて完全に理性の糸は切れた。

そのまま押し倒してしまおうかとした瞬間、瞼を閉じていても感じる、色とりどりの光の洪水が押し寄せてきた。

ついで、それほど時を置かずして胸に響くような音が轟いた。

思わず、空を見上げてしまう。

そして、また夜空に瞬く一瞬の光の華が上がる。

するんと腕の中の温もりがすり抜けていった。

「見て見て! リュウ、花火だよ!」

光の粒に照らされてキラキラと瞳を輝かせたハルカが、子供のようにはしゃぐ。

屋上のフェンスをよじ登りそうな勢いで、背伸びをして夜空を見上げるハルカは、やっぱりどうしようもなく可愛かった。

すっかりさっきまでの熱を帯びた雰囲気はなくなり、手持ち無沙汰の手を苦笑交じりで眺める。

まあいい。

これから、ずっとハルカと共に歩んでいくのだから。

今まで、それこそ気の遠くなるような年月を経てきたこの想い。

それぐらいのことで揺らぐはずがない。

焦る必要もない。

今はただ、隣で笑っているこの愛しい彼女をずっと眺めていられれば、それでいい。

夜空にまた一輪、大きな華が咲く。

そっとハルカの肩を抱き寄せながら、改めて心の中で誓った。

もう二度とこの手は離さない。



to be continued ……?
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