カベの向こうの女の子

無理な切望


俺はいつもみたいに校門に背をもたれて、春菜を待った



今日は部活の後に会うことにしたから、辺りは真っ暗になっていた




すぐに会って言いたかったから、木曜日まで待てなかった




部活帰りの生徒がまばらにちらほらと俺の前を通っていく




着いたと連絡したし、今度こそ言わなきゃ



今日は教師と女子高生にも絡まれないだろうから




テンパることもないと思う



だから、大丈夫



言える




頭の中でイメージトレーニングもしたし




俺は色々考えながら、頭を壁に委ねて帰っていく生徒を眺めていた




テニスバックを持った女子高生が前を通っていく



多分、もう少しだろ



部活のあとだっていうのに、元気なキャッキャッ高い声が夜の寒い空気に響く



女子高生の会話が左耳から右耳に抜けていく




「それでね、あの2人…」



「えー!絶対そうだよー」



「ねー、副部長と先生、絶対できてるからぁ」




俺は副部長という言葉を聞いて、ロングヘアーを思い出した




もう後ろ姿になった会話していた女子高生を改めて見た



背中にはテニスバック…



< 66 / 219 >

この作品をシェア

pagetop