堕ちていく二人


玲子が貴之に会っている合間に、桂司は裕也に意地悪をした。

最初は玩具を隠したり、トイレに行こうとする裕也を見つけると先回りして自分がトイレに入り、裕也を直ぐにはトイレに入れないようにした。

それが快感になった桂司は、裕也への虐めを徐々にエスカレートさせていった。

裕也がコップのジュースを床に零すと、高価な絨毯が汚れたのに腹をたて裕也のお尻を軽く蹴飛ばしたり、裕也がトイレに入れず我慢しきれずお漏らしをすると、その汚れたパンツを裕也の顔に押し付けたりした。

裕也は自分が悪い事をしたのだから、父親の行為を帰宅した母親玲子にはこの時点ではまだ言わなかった。

「裕也、独りで寂しかったでしょう。
お母さん裕也にお土産を買ってきたのよ」

桂司と裕也の間にそんな事があったとは知らない玲子は、裕也に京都で買った玩具を与え、一緒に仲良くお菓子を食べた。

「お母さんありがとう」

裕也は大好きな母親に玩具やお菓子を買って貰い、無邪気に喜んでいた。

桂司はそんな玲子と裕也を陰で見ながら、ほくそ笑んでいた。


(つづく…)


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