堕ちていく二人
決心


夕方になって玲子と裕也が滋賀県のマンションに帰って来ると桂司の姿はなかった。

玲子は嫌な予感がした。
その夜、桂司はまたお酒を飲んで帰宅をした。
酔っ払っている桂司を見て

「これはどういうこと、約束を破ったわね!」

玲子は怒鳴りつけ激昂した。

しかし、桂司は

「うるさい、黙れ!」

一言吐き捨てると、自分の部屋へ入って行き鍵をかけた。

玲子がドアを何度も叩き続け

「開けなさいよ!」

怒鳴ったのだが無駄であった。

母親の鬼のような形相を初めて目の当たりにした裕也は怯えて泣き出した。

「裕也泣かないで。ごめんなさいね」

玲子は泣きじゃくっている裕也をしっかりと抱きしめた。

玲子には桂司が約束を破ってお酒を飲んできた事も許せなかったが、最愛の一人息子裕也が悲しい思いをしているのが、何よりも我慢出来なかった。


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