地味男子
<柴乃>

 いつの間にか寝てしまったあたしは夢を見た。



 なぜかネコになってて…。



 知らない場所…知らない目線…想像のつかないくらいの寂しさと不安が一斉に押し寄せてきた。



 少しでも知ってる場所に行こうと走って走って走って鳴いた。



『…にゃぁ…っ』 って。



 そんな時現れたのは潤君。



 潤君は優しくほほ笑みかけて手を差し伸べてくれた。



 そこで目が覚めた。



 シンと静まりかえってる教室にまた不安を抱く。



 恐る恐る横を見る。


 やっぱりそこにはあなたがいて…安心感に包まれるんだ。



「どうかした?」

「え?」

「泣いてるし…寝言言ってた」

「泣いてる!? 寝言!?」


 あたしはすぐに目元をぬぐい寝言について聞く。


 指先には温かい水がついてる。


 潤君は誰にも見えないように怪しい笑みを浮かべて言う。


 イジワルな顔をしてるのに安心してる…。


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