地味男子

パパ? ママ?

前田君たちと仲良くなってから1週間がたった。



「「キャーーーーっ」」


 2階中に女子の黄色い声が響く。


「何この声!?」

「うるさいよぉっ!!」

 花とピリピリしているとその声の根源があたしたちの教室に来た。


「柴乃ちょっといい?」

「へっ? …なんだ祐磨…」

「俺じゃ悪いかよ…」


 祐磨に引っ張られて廊下に出ると鋭い女子の視線。


 まぁ…あたしもギャルだし慣れてるけど…。


「朝さ、母さんから連絡あって今日2人とも帰ってくるって。 早めに帰ってこいよ?」

「わかったぁ」

「よし。 いい子♪」

 そう言ってあたしの頭をガシガシなでる。

「あのさぁ…一応、姉なんだけど…?」

「妹みたいだな」

「ほっとけ!! 晩御飯抜いてやるぞ!!」

「へー、いいよ。柴乃の分奪い取るから」



 ぷぅ…っ


 いくら弟だからって力は敵わないもん…。



 あたしの負け。


「はいはい。 じゃぁ、もう行きなよ」

「へーい」

 二カッと笑うともう一度頭をなでてから去って行った。


< 58 / 69 >

この作品をシェア

pagetop