意地悪なヒト
ムキーッ!
と、何やら怒っている声が耳に届いた。
見ないでおこう。
そう冷静に私は判断した。
「いいんちょ、たまにはサボろ?」
たまにはって…
昨日サボってたじゃないですか。
第一、私はサボる気なんかありません。
「いーんちょおー、聞いてるー?」
私は梶原くんに視線を向けた。
「梶原くん、ごめんなさい」
深々と頭を下げて断った。
「えー…、俺、いいんちょと良い事シたかったのに。」
頬を膨らませる梶原くん。
良い事って何ですか
しかもなんで“シ”?
絶対良い事じゃありませんよね
「授業は出るものです」
そうキッパリと言った。
「つれないな、いいんちょは」
どうせ、真面目ですから
私はフッと梶原くんから視線を外した。
融通のきかないただの…
そう思った瞬間、
梶原くんが私の髪の毛をひっぱり
正面を向かせた。
「優美、」
そう一言名前を呼ばれた。
私は視線の先の梶原くんをじっと見据えた。
