天狗様は俺様です!
 もしかして、さっきの演技?


 思ったけど聞かない。

 だって、何か怖いし。


 とりあえず、やっぱりミヤちゃんは侮り難いということだ。


「さて、戒くんは放っといても問題ないけど、退かさないと実花ちゃんが帰れないよね」

 そうして「どうしようかなー」と呟きながらカイの体を押しのけようとしていた。


 自分で気絶させといて結構酷いことを言う……。



 私はいろんなことに疲れ果てため息をついた。

 三尾先生から聞いたナギという鬼のこと。

 その人が原因でカイは本契約したくないんじゃないかということ。


 でも、カイ自身はやる気満々っぽい。

 演技も上手くなって、劇成功しそうだし……。



 三尾先生がウソを言うとも思えないし……。


 カイの本心がますます分からなくなった。




 あと数日で始まる文化祭。

 そしてその後。


 色んな不安を胸に、私は秋の星座を見つめていた。




《第五話 演劇練習 【完】》
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