天狗様は俺様です!
 理性では行っちゃ駄目だって思うのに、体が――いや、本能が行かなきゃならないと体に命じていた。


 しばらく足掻いていたけど、結局は呼び声に応えて家を飛び出してしまう。

 そして今もいるこの池に着き、カイと再会してしまった。


「さぁて、今日も楽しませてくれよ?」

 カイは、今にも逃げ出したい気持ちの私にそう言うと、続けてすぐに私の体の動きを封じる。

 そして、今現在されているようなことをしてきた――。



 けして服は脱がせず、服の上から私の身体を昂(たかぶ)らせる。

 それ以上のことはしてこなくて、私はカイが何をしたいのか良く分からなかった。

 「流石に初めにつけた痕は消えちまったか……」

「え?」


 首筋に息を吹きかけられながら言われた言葉に、何のことか最初分からなかった。


 でも、覚えのある場所を舐められ理解する。

 初め――契約したすぐ後に付けられたキスマークだ。


 そりゃあ、あの日から五日たってる。

 人の自然治癒能力を考えると、とっくに消えていて当然だ。


 でも――。


「……でも、それ以外のキスマーク残ってるじゃない……」

 と、私は恨めし気に言う。



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