天狗様は俺様です!
「じゃあ私、まだ色々見て回りますから」

 私はおばあさんにそう別れを告げた。


 そうでもしないと話が延々と続きそうだったし。


「そうか。……ああ! ちょっと待った!」


 慌てて呼び止められて私は振り向く。

「山ん中に入るときは気をつけんだぞ? あそこは妖怪の住みかだからなぁ」


「は?」


 私は目を丸くして軽く驚いた。


 妖怪だとか迷信の類の話を未だに信じてる人がいるなんて……。


 いくら田舎でもそれはないと思ってたんだけどなぁ……。



「はあ、そうですか。気をつけます……」


 私は否定してまた長々と話をされるのを避けるため、そう言って頭をペコリと下げその場を去った。


< 4 / 216 >

この作品をシェア

pagetop